設立/1988年 Macedon Ranges (マセドン・レンジ) オーナー/ワインメーカー(醸造責任者)&ヴィティカルチャリスト(ブドウ栽培責任者)/Michael Dhillon/マイケル・ディロン
ビンディはブルゴーニュ品種であるシャルドネとピノノワールにこだわり、その土地にしか表現できないスタイルを追及している小さな生産者です。 メルボルンの北側、オーストラリアで最も冷涼で収穫期が遅いマセドン地区にあるギズボーン山の斜面に位置し、海抜は1500フィート(約500メートル)。ビンディは、テロワールを追求したシャルドネと ピノノワールの生産者として短期間のうちにオーストラリアワイン業界でアイコン的地位を確立したカリスマ生産者です。 オーナーは熱狂的なワイン好きが高じて畑を購入した技術者のビル・ディロン氏で、息子のマイケルの協力を得て1988年に植樹。マイケルはメルボルンのモナッシュ大学で経済学を学ぶ傍ら、 独自にワインへの情熱を育み、各地のワイナリーを旅して回るようになりました。マイケルが最も影響を受けたワインメーカーは、ベンディゴのバルゴウニーの創設者でワインコンサルタントのスチュアート・ アンダーソン氏でした。マイケルは現代のワイン哲学に精通していて、ただボリュームがあるだけで満足するワインではなく、繊細で魅力的なワイン造りを目指しているといいます。そして、ビンディの土壌は 強い特徴を持ち、それがワインに現れてきます。もちろん、これはテロワールへのこだわりを追求することに関係しており、ディロン親子はワインの風味と土壌のタイプは切っても切れない関係にあると主張します。
丹念な畑作りへの取り組みがビンディの成功の基盤となっています。マセドン地区はシーズンごとの葡萄の出来にばらつきがあり、クオリティを維持する為には 否が応でも収穫量を下げなければなりません。ビンディが徹底しているキャノピーマネージメントは、光の浸透を高めるオープンキャノピーで、病害のリスクを下げながら葡萄を完熟させます。 ビンディの葡萄畑は主に2種類の土壌形成になっています。粉々に割れた石英(クォーツ)が沖積土の沈泥を覆う土壌と砂質のロームが粘土を覆う土壌で、北に面した緩やかな斜面です。 ブロック・ファイヴの畑(Block,5)は一番自然に守られた区画で、オリジナル・ヴィンヤードの区画は風除けの木に守られています。両者の葡萄は自根で育てられています。葡萄の木は日照を最大限に得ることが出来るようVSP(ヴァーチカル・シュート・ポジショニング: 地面に対して縦に葡萄の枝を配置する方法)に仕立てられ、15エーカーの自社畑から収穫されるのは、1エーカー当り平均約1.5トンです。 葡萄畑での剪定作業は非常に厳しく、化学肥料や殺虫剤は一切使いません。 また、収穫に至るまで全て手作業で行います。ブルゴーニュの樽を使用し、ブロック・ファイヴ・ピノノワールには25%から40%、クォーツ・シャルドネとオリジナル・ヴィンヤード・ピノノワールには20%から30%の新樽が使われ、比率はヴィンテージにより調節しています。野生酵母で発酵、濾過は最小限と、醸造は全く干渉しない主義で自然をたよりにしていますが、丁寧にコントロールされています。ディロン親子は自然なワインには、 香り、ハーモニー、エレガントさがあるという概念をもっています。 オーストラリアワイン評論家、ジェイムズ・ハリデー氏は「マセドン地区の新顔が偉業を成し遂げた。シャルドネは紛れもなくトップクラス、ピノノワールもバス・フィリップ、ジャコンダなどの極少量生産の アイコンワインに匹敵するほど注目すべきだ。」と明言しています。 ビンディの全てのワインは、ラベルの人物である数学者コスタス・リンド教授(1909-1983)にささげられています。ビル・ディロン氏は彼について、「知恵や分別と謙遜を縮図的に示したリトアニアの賢人です。 アルバニーの近くにある移住者のホステルからバララットの少年語学学校に配属され、私に様々なことを教えてくれ、ワインと巡り逢わせてくれました。私はコスタス教授と出会えたことを名誉に感じ、彼の影響を受けたことにとても感謝しています。」と述べています。
ビンディ コスタリンド シャルドネ/Bindi Kostas Rind Chardonnay
コスタス・リンド・シャルドネは、1.5ヘクタールの畑で栽培されています。ワインはフレンチオーク樽で熟成。新樽は20%使用。アルコール発酵には、培養したイーストを一切使わず、発酵後は澱引きをせず一冬シュル・リー状態で保存。マロラクティック発酵もわずかにしか行わず、ワインのフレッシュさを残した味わいに仕上げる。収穫から約8か月後にワインの澱引きを行い、そのご再度樽に戻し3か月熟成させてから瓶詰を行います。
生産量は300~600ケース/年。1988年植樹。
クォーツ シャルドネ/Bindi "Quartz"
Chardonnay
クォーツ・シャルドネは、シャルドネを植えている畑の中でも、高い位置にあり一番地質の良い区画のブドウを使用しています。ワインの特徴である複雑さ、フィネス、力強さは、この地質によって生み出されます。このワインは、コスタス・リンド・シャルドネと似た特徴を持っていますが、すべての味わいの要素がより強調され、尚且つ絶妙なバランスで調和しています。
コスタス・リンド・シャルドネと同じ製法で醸造されています。熟成期間は、コスタス・リンドより2,3か月長く、新樽の使用も35%と多くなっています。
生産量は、150~250ケース/年。1988年植樹。
ディクソン・ピノノワール/ Dixon Pinot Noir
ディクソン・ピノノワールは、オリジナル・ヴィンヤード、ブロックKという二つの畑のブドウの中で、単一畑のワインに使用されなかったブドウから作られています。このワインは、華やかな香り、スパイスのニュアンス、バランスのよいテクスチャーを持っています。単一畑のワインに比べて、若いうちに楽しめるワインです。最上級ワイン用のブロック・K畑の古木から取れるブドウもこのワインには使われています。ブドウは100%除梗し、小さい開放槽にて発酵。11か月フレンチオーク樽にて熟成。新樽は10~15%使用。
生産量は、500~700ケース/年・1988年、2001年植樹
以前の名前はComposition Pinot Noir。
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ピノノワール ブロック ファイヴ/ Pinot Noir Block 5'
ブロック・ファイブ・ヴィンヤードは0.5ヘクタールと小さく、日当たりのよい北向きの斜面に位置し、クォーツ(石英)を多く含んだ地質にあります。非常にワイン作りに適した土地です。この畑で採れるブドウから作られるワインはオリジナル・ヴィンヤードのものに比べ、黒い果実のニュアンスやスパイシーさ土っぽさを多く生み出します。華やかで軽い香りよりも、タンニンや果実の力強さを感じるワインに仕上がります。オリジナル・ヴィンヤードのワインに比べ、エレガントさや、デリケートな魅了が出てくるまでには、より長い熟成期間が必要ですが、若い段階でも非常に素晴らしいワインです。
15~17か月フレンチオーク樽にて熟成。35%が新樽。オークの味わいが強くなりすぎないように、心がけています。また一部新樽を使うことで、古樽由来のスモーキーさが強くなりすぎないように、バランスを取っています。
生産量は150~200ケース/年。1992年植樹。
オリジナルヴィンヤード ピノノワール/ Original Vineyard Pinot Noir
オリジナル・ヴィンヤード・ピノノワールは、特徴的な香りを持ち、シルキーでピュアな味わいのワインです。ブドウ畑は、クォーツ(石英)を含み、緩やかな北向きの斜面に位置し、大きさは3ヘクタールです。この畑から取れるブドウは、非常に繊細で、スパイシー、香り高く、非常に綺麗な酸を持ったワインを生み出します。また6~10年の熟成によって、さらに素晴らしいワインとなるでしょう。熟成を経たワインは、深みを増し、より調和した味わいになります。若いうちは、ブロック・ファイヴ・ピノノワールに比べて、親しみやすい味わいです。
フレンチオーク樽にて15~17か月熟成。新樽使用は25%。オークの味わいが強くなりすぎない程度に使用。
生産量は、300~450ケース/年。1988年植樹。
パイレット・ヒースコート・シラーズ/Pyrette Heathcote Shiraz
パイレット・ヒースコート・シラーズは、キャメル・レンジ山、コルビナビンの近くの畑のブドウを使用しています。畑は、赤いカンブリア紀の地質で、標高は高く、東向きの冷涼な場所に位置しています。収穫日は毎年慎重に検討し、鮮やかな果実味やフレッシュさを持ち、この土地の特徴である凝縮感や余韻の長さを生み出すブドウを収穫します。
1000リットルの開放槽にて、野生酵母のみを使用し発酵。フレンチオークにて熟成。新樽の使用は10%。テロワールの特徴である、香、フィネス、バランス等をよりよく表現するために、収穫量、収穫日、醸造方法を決定しています。
生産量は800ケース/年